福島の高校生から学ぶリーダーシップ

Posted by admin on July 28, 2016

どこから書こうか?と悩むくらい盛り沢山な一日だった!今日(2015年11月29日)、福島県立福島高校で『「原子力災害における避難・救護活動について考える」ガチリン番外編!ワークショップ』に参加してきた。福島高校リベラルゼミダイアログx日本赤十字社xわかりやすいプロジェクト企画の共催で、これまでも色々な議論を続けてきている福島高校の学生(郡山安積高校の学生3名と横浜から大学一年生もひとり参加)を中心にしたワークショップ。で、今日のアウトプットは、赤十字社が世界に向けて発信する“日赤原子力災害活動ガイドライン”の参考にもされ、3月には日本赤十字社に高校生からの提言?が予定されており、その入り口となる会だった。

まず、驚かされたのが、とにかく高校生の意識とレベルの高さ!噂には聴いていたが、かなりショックを受けるレベルだった!ショックというのは、「おいおい、企業人、頑張れよ!」「俺ももっと頑張れよ!」と言いたくなるということだ。物事の本質を捉えようとする姿勢、自分事として考えないと意味がないという意識、考え議論する基本ができている。本人たちはさほど気付いていないかもしれないが、凄い!(神戸の灘校が福島高校の学生から学び刺激を受けるために、定期的に合宿に来ているのは知る人ぞ知る事実)

内容は、震災時、原発近くでデイケアセンターを経営されていて、ケアーに来られていた老人方を連れて千葉まで逃げたご経験をお持ちの現福島県社会福祉協議会復興委員会事務局長の高木さんと、日本赤十字社福島県支部で震災当時情報管理をされていた久保さんから当時の状況や経験談を伺い、日本赤十字社災害対策企画室長兼赤十字原子力災害情報センター長の山澤さんから“日赤原子力災害活動ガイドライン”の説明を受け、高校生たちが自分たちでファシリテーションもしながら、ぶっつけ本番のワークショップ形式で議論するというものだった。講演の内容も、改めて当時の悲惨さ、大変さ、難しさを考えさせられるとても濃いモノであったが、ここでは、高校生の議論の中での発言を中心に、現代の日本(企業人?)の課題との対比で、感じたこと、学んだことを書くことにする。

* まず、各講演後のQ&A、「質問がある人」と同時に必ず手が上がる!日本では最近見たことのない光景で驚き!また、その場でファシリテータもすぐに決まる。

* 2年生からの何気ない一言「人がそれぞれ違うのは当り前」。発言した本人は特に強い意識もせず、当り前のように発言したが、これが凄い!“Diversity & Inclusion”と一所懸命唱えている企業は何なのか?

* 私たちは忘れない”というスローガンを見て、「私たちは忘れていない。ただ、当事者意識でない(幼かった)。その私たちが、これをどう自分ごとにしていくかが難しい。」こんな深い発言、簡単にできます?!

* 災害時に備えるという話題に対して「災害時、に備えるべきというのは理解できるが、現在の日本社会において、投資と資本主義という考え方とどうバランスをとるのか?」という質問。大人は答えられないどころか、そんな質問想定もしていなかった!高校1年生からの質問です!

*以下は、読んでみて感じてください!如何に彼らの思考が深いか!

 「人は弱くて、社会はダメな方向に行きやすい、という前提で考える必要がある」

 「想定外だったので今後は想定しておくって、本当にできるのだろうか?必要なのはわかるけど、経験していないことなど本当に個人で想定できるのか」

 「理想のあるべき姿と現在のGapは埋まらないのではないのか。なぜなら、理想のあるべき姿は常にさらに上を求めるべきものだから」

 いざとなった時に、家族を取るか、立場(責任)としての使命を取るかの議論で、自分と違う判断をした人を受け入れられるかという議論で「何を大切にするかという価値が異なる人と本当に信頼関係が築けるのか。同じ価値観がどこになるかを探す努力が必要」

 自身の価値判断で「避難や救護のガイドラインに沿わない人のためのガイドラインが欲しい」

 「リーダーは責任を持って判断をし、ある程度指示命令をすべきだとも思うが、その結果の命の責任が負えるのか?負わなくてはいけないのか?」

ここまで読まれた方、どうだろうか?普段、我々、ここまで頭を絞っているだろうか?比較はしたくないが、企業研修のワークショップはもちろん、会社の会議でこの深さまで議論できているだろうか?何を達成するために、誰のために、自分の責任はどこまでで、その結果、誰にどういう影響があるのか、、、常に考える癖がどこかにいってしまっていないだろうか?

私と同業(HRM/HRD)の方、ここまで読んでいただいてある言葉が頭に浮かばないだろうか?そう、最近よく聞く“Authentic Leadership”! 自身を見つめなおし、自身の価値観を再認識し、自分が社会の中でどうかかわり、どう貢献していくのか、まさに、Authentic Leadershipの議論に他ならないのでは、と感じた。高校生がそこで悩み、考え、自分たちなりの答を出そうとしてる!日本の将来は明るいかも⁈と思った一日だった。と同時に、おいおい、俺たちオヤジたち!もうちょっと、頭絞ろうぜ!と反省の一日でもあった。