コロナウイルス騒動改め、コロナウイルス問題から考えること ~岩田先生のツイッター投稿騒動から考えること~

投稿者 aas 日時 2020年2月20日

20日にあらゆるメディアが取り上げていた、神戸大学医学研究科感染症内科の岩田健太郎教授のツイッター投稿(YouTube再生動画)「ダイヤモンド・プリンセスはCOVID-19製造機。なぜ船に入って一日で追い出されたのか。」は1.5日ほどで削除されましたが、見られた方も多かったかと思います。私はアップされてかなり早い段階で見ました。かなりショッキングでしたよね。ある程度思ってはいたものの、そこまで酷いか!という感想を持たれた方は多かったのではないでしょうか。

https://twitter.com/georgebest1969

それに対して、岩田先生がダイアモンド・プリンセスに乗船できるように手配をされた、厚生労働省の高山医師が、ご本人は間違いを訂正のおつもりだが、世論は反論と捉えた投稿をFacebookにアップされました。こちらを見た方は少ないのではないでしょうか?個人的には、こちらの投稿とそれに対するコメントの方が色々と考えさせられました。

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=2703278763058947&id=100001305489071

ご存じ&お察しの通り、岩田先生の投稿に対しては、一億総評論家にはとてもおいしい種ですから、バズりでもあり、炎上でもあり、大騒ぎ。これで政府まで動いたわけですから、それはそれで意味があったと思います。それに対して、高山先生の投稿はFacebookだったこともあり、高山親派が中心で「そうだそうだ、皆、頑張ってるんだから、岩田先生引っ掻き回さないで!」というトーンの投稿が多かったように思います。

 

で、私が言いたいのは、どっちが正しいとか、政府がどうこうとかではなく、「皆さんの会社もダイアモンド・プリンセスになっていませんか?」ということです。 

もちろん、船内が実際にどうなっているのかは、私も見ていないのでわかりませんが、起こったこと、これらの投稿での議論、とても日本らしいと思いませんか。特に高山先生の投稿とそれをフォローしてコメントしている方々の投稿です。岩田先生の投稿に対する細かいポイントの修正はどちらが正しいのかわかりません(それらに対しても岩田先生がまた反論されています)が、全体のトーンが「中にいる人たちは、頑張っているんです。一所懸命頑張っている人たちの士気を殺がないでほしい」というトーンが気になるのです。論点はそこじゃないですよね!だれも、頑張ってないとは言っていないし、中で働いている人たちには敬意を表します。しかし、結果がどうなんですか?という話です。世界は結果を見て批判しているわけですよね。頑張っていても、中国以外で圧倒的に多数の感染者を出してしまってはまずいですよね。頑張っていても、封鎖して留め置いて1週間たってから入った厚労省の職員が感染していちゃダメですよね。

確かに、意思決定している政府や厚生労働省の問題が大きいのは間違いないでしょう。最終責任はそこにあります。でも、責任がどこにあろうと、自分の命は自分で守るんですよね。“他人の命より自分の命が先”って、9年前の震災でさんざん言いましたよね。船の中で頑張っている専門家やお医者さんは沢山おられるはずですよね。その方々が、岩田先生と同じ危機感危険感を持たないわけがないまずですよね。なぜその方々から声が出ないのか、或いは上を動かすだけの力にならないのか。専門家じゃなくても、他のスタッフや関係者もそうですよね。まずい、怖いとは思っているはずですよね。でも、上に立てつけない雰囲気がある。意見すら言えない雰囲気がある。ルールには疑問を持たずに従う。上の指示には従うものという絶対前提。「私は死にたくないので、この仕事おります」ってやっぱり言えないのでしょうか。“仕事をおりろ”と言っているのではなく、そのくらいの気持ちで発言しないと変わらないということです。言い方は悪いですが、結果として、思考停止しているわけですよね。自分の生死がかかっている状態でも、何が正しいかを考えることより、目の前の役割を全う推進すること、一所懸命頑張ることが優先される。これを是とする風土。実は、これって、私が毎日、色々な会社で見聞きする組織風土問題と同じです。繰り返しますが、頑張ること、役割を全うすることは否定しているわけではありません。ただ、誰のために、何のために、頑張っているのですか?正しいことって何ですか?をもう少し考えないと、周りも結果として自分が不幸になりますよ、ということです。

皆さんの会社はどうですか?毎日の仕事で、間違っていると思うこと、おかしいと思うこと、無駄だと思うこと、今までもそうだから、ルールだから、上がそう言うから、、、黙って、ずっと続けていませんか?本当に、それで今後やっていけますか? 国会答弁でも、善処しますとか、頑張ります、みたいな言葉(何もコミットしていない)が通ってしまう国ですから、一人で反論し戦うのは難しいでしょう。でも、一人一人が変わらないと文化はかわらないのです。実は、偉そうなことを書いていますが、これは、IMDの教授から、日本企業を称して、私が言われたことなのです。

日本企業の強みである組織力を否定するつもりはありませんが、正しい方向の組織力に修正していかないと、大きなリスクになり、足元をすくわれることになります。ここ5年、世界で最も言われているリーダーシップ論、Authentic Leadershipと真逆の状態です。各個人が、自分自身の価値観、自分自身の強み、自分がどうしたいのかという自己理解をしっかりと持った上で、倫理観を持ち、何が正しいかという自分の信念のもとに行動する。真剣に考えるタイミングはとうに来ています。