ワークショップ研修を通して思うこと1

投稿者 aas 日時 2017年11月28日

色々と問題課題が噴出し大きな変革期にある某メーカーで、本部長約20名、ライン部長約150名対象に、新しいVision/Wayを自分事に落とし、組織風土変革実施を考えるワークショップ、全7日間日程を完了しました。正直、当初は「この人達ダメだぞ!ヤバいぞ!」もっというと「やっぱり、人を入れ替えないと組織は変わらないぞ!」とも思っていたのですが、最後には、“変われる!”という清々しい気持ちさえ芽生えました。

皆さん頭は良いし、自分達の商品やブランド、会社に対する思い入れは人一番強いし、本当は、外部がとやかく言わなくても、このままではいけないこと、変わらなくてはいけないことは十分わかっておられる。ただ、頭ではわかっていても「俺は一所懸命働いてきた」「俺が悪いんじゃない。上だろう」「この忙しいのに、これ以上何をやれというのだ」と心の声をコントロールできないのでしょう。「あなた達(心では“お前ら”(笑))大人だろう!自分のことだろう!」と思うし、その通りなのですが、いつも思うのは“こういう時、大人も子供もない!”ということです。もちろん、社長や役員など高い責任ある人達はそれではいけないのですが、でも、人はそんなに強くない。欧米では、、、というのも簡単ですが、日本の企業組織は個人で責任を負う体制になっていないのですから、個人に責任を押し付けると酷なのかもしれません。組織としてそれで良いかどうかの議論は別ですが、、、。

今回のワークショップでも出ました。「XX製鋼も、XX自動車も、我々だって、現場は会社のためを思ってやってきたんだよ。」そう!その通り!だから根が深いのです!日本では他の国のように、トップが私欲のためにとか、部長が出世欲のためにコンプライアンス違反や不祥事を起こすことは滅多にありません。皆、どこかで良くないとはわかっていても、“会社のため”というマジックワードに逃げてきた。そう厳しく言えば“逃げ”以外の何ものでもありません。ただ、繰り返しますが、これは個人の責任で片付く問題ではなく、組織文化の問題になってしまっています。私利私欲なら、その人をクビにすれば解決します。が、日本企業の場合、社長や担当役員が責任を取って辞めても変わらないのです!

多くの外部の人が「だからこそ、個人変革だ、個人がリーダーシップを」とおっしゃいます。これもその通りなのです。でも、ことはそんなに簡単ではありません。根っこはそんなに浅くはありません。一社員はひとりで会社という社会でクーデターを起こせるほど強くはないのです。

で、この類のワークショップでいつもどうするかというと、やはり最初は全て吐き出してもらいます。安全な場を形成し、本音を吐き出してもらいます。不平不満という言葉は使わないようにしますが、不安やモヤモヤ感も含めて本音で語ってくださいと。同時に、期待感やポジティブな思いも語ってくださいとファシリテートします。最初はネガティブから入ることはむしろ歓迎で、出し切った後ポジティブに向かうようにします。正直、これは放っておいてもそうなります。皆さん、「自分たちのことだ。自分たちでどうにかするしかない」ことなど、百も承知なわけですから。(トップに信頼信用がない場合には、難しいケースもあります)これを頭ごなしに、ネガティブな発言をするなと押さえつけると、自分事には落ちません。とはいえ、ポジティブに自分を持って行くのに10分でできる人もいれば、1時間或いは1日かかる人もいます。これをグッと我慢して待つことも重要だと思っています。このファシリテーションにはやはり外部の人間が必要でしょう。人事や企画がやると「お前らに言われたくないわ!」というのがありありですから。

ただ、ワークショップはほんの入り口でしかありません。これをきっかけとして、大切なのは、思い続け、考え続け、行動変革し続ける、継続することです。四半世紀コンサルをやってきて、よく日本企業で耳にするのが「うちもやってみた」という言葉です。「やってみた」はダメなのです。「徹底して、やり続ける」が欠けています。日産自動車やJALは変革時には、この“徹底して、やり続ける”ことをフォローするだけの部署も作っていますよね。決して強くない人が変わるためには、この継続するための仕組も重要でしょう。

さて、少々前置?が長くなったので、今回は2部構成にして、この数か月、管理職研修や選抜研修を担当してきての気付きを、第2部でまとめます。