ワークショップ研修を通して思うこと2

投稿者 aas 日時 2017年11月28日

さて、2部ですが、今年も、9~11月はビッシリ、複数の日本企業で、グローバル選抜研修や管理職研修という名のワークショップやアクションラーニングのお手伝いをさせていただきました。そこで感じた日本企業の課題、気付きや個人的な思いをまとめておきます。読まれる方に何か気付きが与えられれば幸いです。

1.やっぱり、自分事に落ちない、他責文化

自分の責任で、自分で考え行動するのではなく、上から言われたことをやる文化になれてしまい、自分事として自分の責任で考え、自身の判断で実行するというようにならない。「あなたはどうすべきだと思うか、どうしたいか」と問うても、「うちの会社では、、、」「本来はXXすべきだろうけど、、、、でも、上が、、、、」という回答が返ってくる。

「最初に責任の所在を明確にすべき」という言葉をよく耳にするのだが、これが、自分のアカウンタビリティの話ではなく、自分が責任を負わなくてすむように、他人の責任を明確にするという議論になっていると感じることも多い。

社内の議論や会話でも、問われた時の返答が“言い訳”から入るケースが多い。多分、本人たちは気づいていない。自身の責任範囲の業務(のはず)にサポートで入っているスタッフについて、派遣元がちゃんと事前教育ができていないから計画通りに進まなかったと“言い訳”をする。それに対して派遣元は、やることはやっていると“言い訳”をする。(笑えるのが、これが敬語で行われる!)何も生まない会話、目的意識を失っていることに気付かない。

ワークショップで議論が浅いと思い、私が議論や質問を投げ入れると、何と私に“言い訳”をしてこられる!これは非常に多い。私に言い訳して、何が生まれるのか?

2.組織人間に求めるAuthentic Leadershipの難しさ

自分事に落ちないと当然、Authentic Leadershipには落ちないのだが、リーダーシップの議論をしていて気づいたことがある。Ethics/倫理の話をしていた時に、倫理とは何か、倫理観を持つとはどういうことかという議論で、ふと気づくと、どのグループも倫理的に何をして良いか、いけないかを、会社でルールとして決める話をしている。(例えばお歳暮、賄賂、雇用問題等)どのグループも個人の価値観や倫理観の話ではなく、会社としてどうするかという話をしている。これはちょっと衝撃だった。日本特有の現象ではないだろうか。昨今次々に出てくる企業不祥事の払拭の難しさを感じざるをえない。

3. “やる/やらない”と“できる/できない”の区別がつかない、論理整理ができない文化。

これは、昔からよく言うのだが、日本人は事象をロジカルに整理することが苦手だ。国会でもそうだが、何を話しているのか、何が目的なのかがわからなくなる。新商品開発でも、業務プロセス改革でも、人事の制度設計でも、何でも、会社として“やるのか、やらないのか”“必要か、必要ないか”の議論の中に、できるか、できないかの議論を持ち込んではダメ。何をやるべきかを決める前から、できるかできないかの話をしていることが多い。切り分けができない。

ある企業の部長ワークショップで、ある部長が「X役員は、パフォーマンスの評価では、結果が出ていないと意味がないというけれども、頑張っても環境の問題で結果が出なかった人間は評価してあげるべきではないのか」と。私が「頑張った人は、具体的に何を頑張ったかを見てあげて、そちらは行動や能力の評価で見てあげて、パフォーマンスはあくまで結果で見るということ。切り分けて考えないとダメです」といくら説明しても、それが理解できない。「でも、頑張っても結果が出なかったらどうするのか」といつまでも、おっしゃる。一流大学を出た、一流企業のライン部長さんです。

4.リスクテイキングなく、リスクは避ける文化

これはあらゆる局面で感じる。上記、“言い訳”文化と相通じるところもあるが、リスクは取らずにまず避ける。従って、できない理由付けから入る。上司も“やってみなはれ”ではなく、“本当に大丈夫なのか”が先に立つ。石橋を叩いても渡らない上に、減点主義でやってきた結果だろう。また、他人にリスクを押し付け他責にしようとするために、信頼関係が生まれない。

5.外に興味なく、視野が狭く、短期志向の文化。

IT企業の部長が、トヨタより遥かに時価総額の高いテンセントという会社をしらない。自動車会社のEngineerに「アメリカではUberの台頭でわずか3年でタクシーが消滅していますよ」といっても「へ~」と他人事。どころか「Uberって何ですか?」。銀行系のIT開発企業でFintech開発部隊のEngineerは「アリペイやウィーチャットペイの登場で中国ではキャッシュの流通が数年でなくなった」という話を聞いて「あの国は偽札が多いからでしょう」でスルー。

銀行がシステムを発注するのではなく、Fintechが金融をコントロールするようになるんでしょうと幾ら話しても通じない、メガバンク系IT開発会社。1~20年後には自動車の市場自体が大きく変わるかもしれない中(シェアリングや他の移動体の出現など)、電気自動車が出てきてもガソリン自動車市場がどのくらい残るかという議論をしている自動車メーカー。日本はキャッシュレスにはならないと胸を張るATM製造会社。皆さん、自殺願望者かしら、、、。

6.最近の若者は、、、NoNoNo、おじさんも一緒ですよ!

「最近の若者は本当大人しい、意見を言えといっても全く発言しない。自己主張がないんだよ」⇒「オジサン、私が研修で意見を求めたら、何人が手を上げます?!」

「最近の若者は議論ができない。意見をぶつけ合うことができていない」⇒部長さん方、その言葉、そっくりそのままお返しします。あなた方も上司の請負発言じゃないですか?個人として信念をもった主張されていますか?

「最近の若者は打たれ弱い。ちょっと注意したら、それからすっかり大人しくなってしまった」⇒人事部長が部長研修で“これからはダイバーシティの時代。部下にLGBTの人がいるかもしれない”と話された後、「部長、素晴らしいですね。でも研修参加者に対象者がいない前提で話されていませんでした?」と助言したら、それから、その話されなくなってしまったのですが、、、。

「最近の若者は仕事に興味を持たない」⇒「いやいや、仕事にしか興味を持たない、貴方方に言われたくないわ!」

愚痴リストを作るつもりはなかったのですが、、、。 今年、色々な日本企業の管理職と付き合っていて、感じていることを羅列しました。