グローバルリーダー開発をジョブ型xメンバーシップ型論議から考える
先週、2日連続のセミナー登壇(正しくは、ウエビナー配信)で、初日は「メンバーシップ型xジョブ型」の話、二日目は「グローバルリーダー」の話をさせていただいた。偶々、この2つのテーマを続けて話させて頂いたことで、色々考えることがあった。
以下は、以前もアップしたメンバーシップ型とジョブ型で結果としてできる文化(組織と個人の行動特性)の違い。もちろん、これは少々誇張した部分もあるが、一般論としては間違っていないと思う。
見てどうだろう。やはり、メンバーシップ型は強い組織を作るのに向いていて、ジョブ型は結果として強い個人を作ることになるのが一目瞭然だ。これまでの私の経験と照らし合わせても、こんな感じだ。上図は、特にリーダーシップを意図してまとめたわけではなかったのだが、結果として、強い個人に繋がる赤字で書いたような言葉が多く並んだ。
そこで気づいたのだが、日本企業でグローバルリーダーがいない、グローバルリーダーが育たないと言っているのは、ここが一番のポイントなのではないのか。英語力や異文化理解力という話を耳にするたびに、そこじゃないだろう!とずっと思っていたのは、ここがポイントだったのだ。そう考えると、そもそも、どっぷりメンバーシップ型の会社の中で、グローバルなマネジメントで求められるグローバルリーダーが育つことを求めること自体、無理があるのではないのか。
今回、グローバルリーダーについて話して欲しいと言われて、過去で出会った、PwCグローバルで凄いと思ったリーダーや海外のクライアントで素晴らしいと思ったリーダーを思い出すと、決まって頭に浮かんだ形容詞が“圧倒的”という言葉だった。「圧倒的な心の強さ」「圧倒的な思いや信念」「圧倒的な仕事量」、そして「圧倒的なやさしさ」だ。もちろん、日本にもこれらに当てはまるリーダーはいる。しかし、やぱり、上記のようなジョブ型環境の方が、圧倒的に圧倒的な個人が育つ可能性は高いのではないだろうか。
で、ここで、日本企業がよく起こす間違いは、じゃあ、うちもグローバルリーダー育成が大切だから、人事をジョブ型にしなければ!という、よくわからない動きだ。そうじゃないだろう!ただ、本気でグローバルリーダーを開発したければ、候補者を若くから選抜し(或いは別枠で採用し)、研修を提供するだけではなく、育つ場を与え続けていくことは必要そうだ。そして、自社がどのような会社になりたくて、その為には、どのような人材が必要なのかをしっかりと議論することから入って欲しい。
10年程前に、トヨタの友人とこんな会話をしたことがある。
私「トヨタってやっぱりすごいよな。結局、ずっと世界のトップで戦い続けているのってトヨタだけじゃん」
友人「でもさ、GEやIBMみたいに、他の会社の社長になって成功している人って全然いないよ。トヨタ出身者でそんな人聞いたことある?」
私「そんな人が出てきたら、トヨタじゃないじゃん!」
組織力のメンバーシップ型と個の力が育つジョブ型の話だ。
自動運転、サブスク、MaaS、Woven City、、、さあ、トヨタの組織、何が変わって、何が変わらないのか、世界を驚かせてくれるのか、とても楽しみ!