Brain Work & Heart Work

投稿者 aas 日時 2021年8月2日

私の仕事には、頭を使う仕事とハートを使う仕事がある。端的にいうと、モノや仕組を相手にする、所謂、企画系の仕事が頭仕事。人を相手にする研修やワークショップがハート仕事だ。

社会環境の変化を理解整理し(PEST)、会社や事業のビジョンを理解し、立ち位置を整理して(SWOT)、戦略を立てる。私の最近の仕事で言うと、将来を見越したグローバル人事組織と機能がどうあるべきか、世の中の変化に則した個が自律しアジャイルな組織を実現するための人事(制度)はどうあるべきか、次期経営者開発のグローバルリーダーシップ研修のあり方、などの企画設計プロジェクトがそれにあたる。これらの仕事は、思いっきり視座を上げ視野を広げ客観性かつ妄想から入り、ロジカルに整理して詰めていき、目指す姿を描き、最後はそこに向かう計画とアクションプランに落とす。これを私が描くというより、私がファシリテーションして会社の皆さんに考え描いていただくのがあるべき形だ。正に言うが優し、実行はかなり難しい。頭に汗をかく、絞って絞って出なくなるまで汗をかく、頭仕事だ。

それに対して、色々な会社でやらせて頂いている管理職研修などはハート仕事だ。もちろん、ちゃんと達成目標をもってストラクチャードに設計し、理論的かつ論理的に研修は進めるのだが、私が本気で思っていることをぶつけないと結局は通じないし、参加者が如何に本気で考えるかが研修の成否を握っていると思っている。これは正にハートとハートのぶつかり合いになるハート仕事だ。Teachingは精巧につくられたマニュアルに沿ってインストラクションすればできるかもしれないが、Learningは受講者のハートが動かないと達成できない。不器用な私が他人の作ったテキストで講師ができないのは、その辺りだろう。

どちらが好きかと聞かれると、私は後者のハート仕事だ。多分、人が好きだからだろう。実際、研修(というより好きなのはワークショップ)では講師である私が新しい出会いや新しい気付きに楽しんでいる時が多々ある。リンダグラットン氏が言われているように、新しい気付きやアイデア(イノベーション)は人と人のぶつかり合い(Hot Spot)から生まれると信じている。ただ、結果の見える前者の成功時(私なりの判断での成功)の方が、自己満足感は高くなる。比較は難しいが、研修系の仕事の方が、やり切った感を得ることが難しい。(個が相手の仕事で、全員に対しての達成感を得るのが難しいのかもしれないが)いずれにしても、自己中で我儘な私は、クライアントの満足度よりも、自分自身の満足度が優先する(笑)。もちろん、私が満足した場合、普通はクライアントも満足されているが、逆は必ずしも正ではない。

ここまで読んで「いやいや、常に両方必要でしょう?」と思われる方も多いと思う。実はその通りだ。理屈上は。ただ、BrainとHeartを常にフル回転するのはとても難しく、また燃え尽きかねない(笑)。ただ、後者のハート仕事は、ハートがフル回転していると頭はあくまでHowなので自分のスキル次第となる。気を付けなくてはいけないのは、前者の頭仕事だ。これは気を付けないとHowに走りがちで、キレイだけど使えないもの、凄いけど必要ないモノが出来かねない。その為には、ビジョンの共有というハートが不可欠であることは間違いない。最近よく言われるPurposeを共有するのがハートで、それは大前提。その上で、頭をフル稼働する、時々ハートをチェックする、そんな仕事の仕方だろう。

実は、経営者オフサイトミーティングのファシリテーションなどは、この両方がミックスされる。これはキツイ。でも楽しく、やりがいがある。

とりとめのない話を書いたが、このバランスを取りながら仕事をしているのが何とも楽しい。