ジェネレーションギャップ ~今の私点から~

投稿者 aas 日時 2021年5月15日

良い悪いの話ではないと思う。まして、正しい間違っているの話でもないだろう。というか、正解を求めていては解決できないだろう。昨今の世代間ギャップの話。世代間ギャップはいつの時代もあったし、これからもあるだろう。ただ、過去との比較で、何か質がちょっと変わってきているし、生活環境変化が激しく、何よりその変化スピードも速くなった昨今、ジェネレーションギャップをもうちょっと意識した方が良さそうだ。ギャップを解消解決するというより、世代間ギャップの存在をお互いにもうちょっと理解しないとヤバいんじゃない?!という話。最近の思いを書き留めておく。

*昭和世代が重要なクライアントとの連絡や重要案件を伝える時にメールでは失礼で電話をすべきと考えているのに対し、若者(若手ミレニアルやGenZ)は、相手の思考や行動を遮る電話は失礼であり、メールで連絡すべきと思っている。ある意味、若者の方が理にかなっているのでは?
実際「私は中々捕まらないからメール入れておいて」と言っても、「いやいや、メールで何て失礼な」といって、何度も留守電を入れてくる役所や会社がある。これをやらされている若者は絶対納得していないと思う。

* メールは手紙やファックスの延長線である伝達ツールで、チャットは電話が置き換わった対話ツールである違いに、気づいていない人は意外と多い。手紙からメールに移行しメールに慣れてきた昭和世代は、チャットにもダラダラと文章を書く。チャットしか使ってきていない若者は、メールのお作法がわからず、最初の挨拶文をすっとばしたり、ちゃんとしたまとまった伝達文書が書けない。それを見た双方が、「分かっていない。あいつらダメだ」と互いに思っている状態が放置されている。

まず、この辺りのコミュニケーションにおけるギャップに気づいて歩み寄らないと、相互理解のスタートラインにも立てない。

* 就職活動中の学生や入社したての若者らは、「自分の専門性を聴いてくれない。自分の勉強してきた専門性に興味をもってもらえない」と嘆く。

* 新入社員は、入社1か月で「この会社は、自分にはあっていないと思う」と言い出す。入社1か月で「ロールモデルになる先輩がいない」と言い出す。入社1か月で「作業しかさせてもらえない」「自分のやりたい仕事をさせてもらえない」と言い出す。

* そして、入社数ヶ月で、仕事において先輩にダメ出しをしはじめる(もちろん、本人に対してではなく仲間内で)。

どれも、昭和世代からすると???だ!「正に、何言ってんだ、こいつら?!」と信じられない心境だ。しかし、若者は至って真剣だし、こういう発言が出るのは、自分に自信のある偏差値の高い大学出身者たちが多い。昭和世代は、この背景を教育の問題と考えがちだが(そもそも、自分たちも親としてその教育当事者なのだが)、時代背景の違いもある。頑張っていれば何となく良くなると思えた昭和と、先が見えない漠然とした不安の中で、先が見えないからこそ今を充実させたい現代の若者と、時代背景の違いがある。

そして、そのような発言の出る若者から、一方では以下のような発言もよく聞く。

* 調査の仕方、レポートの書き方、ひいては、電話のかけ方、エクセルの使い方まで、「教えてもらわないとできない、分からない」と当り前のように言う。(私のこの言い方も間違っており、彼らにとっては“当り前”なのだ)

* 「まず自分で考えてやってみて。トライしてみて、それでわからなかったら持ってきて」というと、「で、まずは何から始めればいいですか?」と当り前のように質問してくる。昭和世代からすると「だから!」と言いたくなる。

「先輩が答えを持っているのなら、それを教えてもらってやった方が、よほど生産性が高いじゃないですか」「私が悩んでいる時間や、失敗してやり直す時間って“無駄”じゃありません?」というのが若者の考えだ。「いやいや、自分で考えてやってみて、失敗して、そこから学んで、また自分で考えてトライして、その繰り返しで、本当に自分のモノとして身に付くんだよ。教えてもらうだけだと知識でしかなく、自分で経験して知恵をつけていかなきゃ!」とか、いくらもっともらしいことを言っても、これは経験者でないと理解できない。では、昭和世代はどうやって身につけたのか?多分、先輩に言われたことはやるものだという常識感の中、盲目的に動いて、徐々に身についたのだろう。今の作業、今の生き方に意味を求める、今を大切に生きようとしている、今の若者の方が、ある意味ちゃんと考えている。それに対して、上司や先輩は答えてあげられなくてはいけない。

* 「ちょっと、皆で一度ブレストしよう」と上司が言うと、若者から「働き方改革の時代に、スケジュールやゴールを決めずに会議って、それいいんですか?時間の無駄じゃないですか?」と言われて、ある意味ショックを受け、また、それにちゃんと説明できなかった自分にもショックだった、という話を聞いたこともある。

 

では、そのような若者が働き甲斐を感じ活躍している会社では、どのようなマネジメントが行われているのか。私の知見の範囲では2種類に大別できるような気がする。ひとつは、最近よく耳にする言葉を使うと、社員のExperienceを重要視し、社員がWellbeingであることを常に意識し、心理的安全な場が形成されている会社(職場)。言い方を変えれば個の尊重がマネジメントの根底にある。すると結果としてコミュニケーションが活性化し、例えば若者がやりたいことを主張もするが、それに対して、なぜ今それをやらせてあげられないかも上司が本音でちゃんと説明できる状態が形成される。お互いの理解が深まり、結果信頼関係が強くなる。結果として議論が活発化し、個の成長にも繋がる。ティール組織というと、組織の形(組織図)を意識するケースが多いが、どちらかというとこの組織文化の醸成が重要だ。

もう一つのパターンは、全く逆で、意思決定・指揮命令系統が明確で、ルールも詳細に定められ、個人の役割責任(仕事)も明確、その結果の評価も明瞭なトップダウン型組織だ。これは一見、昭和?と思われるかもしれないが、実は今の若者の中には、明確なルールや明確な個人タスクの下で働く方が、分かりやすく働きやすいという人は多い。自分に何が求められているかが、作業タスクレベルで明確で、それを達成すれば褒められ、評価されるという中で、力を発揮する若者は多い。要するに分かりやすく悩まなくて良い環境だ。自律したリーダーが育つかは疑問だが、卓越したリーダーの下で、このような組織が存在するとその組織の生産性は高い。

以上は、限定的な私の経験からの個人的見解だが、自組織をイメージしながら読んで頂くと、いくつかの気付きは得られると思う。嘆いていても何も解決しないし、正解を定めて強制的に矯正するのも違う気がする。まずは、上に書いたようなミクロな違いに気づき理解すること。但し、これはミクロな個人の課題ではなく、マクロな社会の課題だ(もし、これが課題だとすれば)という理解が必要だろう。その社会の中で共生し、それぞれの強みを活かす意味からも相互理解をもう少し意識していきたい。 

(最後に意図せずオチがつきましたね!『強制的な矯正では、共生できない!』 日本語難し!(笑))