WFHから理想の組織へ ~これからの人材マネジメント、ワクワクでしょう!~

投稿者 aas 日時 2020年7月5日

オンラインミーティングや研修における顔出しの是非や常識感の違いについては、以前も書いたが、最近「若者は顔出しなしでもコミュニケーションがスムーズで、顔出しでないと話しにくいと言っているのはオジサンだけ?」という話をちらほらネットでみるようになった。これは私も実感値がある。通常、セミナーなどでも、全体では殆ど顔出していなくても、ブレイクアウトセッションにすると、意外と皆さん顔出して話をされる。ところが大学の授業では違う。顔を出さない学生は、数名のブレイクアウトセッションになっても顔を出さない。そして、それが自然に受け入れられ(私にはそう見える)、さらに、オジサン達より遥かにスムーズにコミュニケーションがされるのだ。顔出していなくても、不思議なくらい、会話がかぶらず、うまくコミュニケーションが取れている。これは何だろう?やっぱり、普段からの細かい会話のキャッチボールがLINEなどで鍛えられているからだろうか。オンライン環境が改善され、なによりG5環境になれば、強制顔出しは可能になるだろうが、もし顔出さなくても同じ水準のコミュニケーションがとれるなら、それは解決策だろう。おじさんは寂しいが、、、(笑) オンラインコミュニケーションのあり方については、心理学、脳神経科学、行動科学など色々な視点から、世界中で研究が進んでいるし、テクノロジーの進歩もめまぐるしい。人事がしっかりフォローし、対応し続けることが求められる。

オンラインでの気付きから、オンラインを取り巻く環境もかなり進化している。ただ、またここで組織差が大きく出ていることも気になる。当初は、リアルな場をできるだけオンラインで実現しようから始まり、⇒オンライン特有の良さもあるじゃん、でもやっぱりリアルでないと無理なこと多いね、⇒そのリアルだからこそもオンラインでできるようにしちゃおうぜ!になってきている。

以前に書いたのはあるミーティングで社長が「おれ、下ジャージだから立てないんだよね」とおっしゃって、社員との距離がグッと縮まった瞬間を経験した。ある人が書いていたのは、地方におられる先生が授業の開始に遅れて、もう始まってますよ~!と言われて即座に授業を始められて大うけしたって話。私も大学で授業をスタートした瞬間にPCが落ちてしまい、大慌てで復旧して授業に戻ったら生徒たちが大爆笑で拍手喝采、その授業がいい感じでスタートが切れたことがあった。オンラインならではのハプニング編だが、これがリアルな場で同じようなことが起こるとどうだろう? 後者のケースなどは「何やってんだ、主催者が!」とか「金払ってんだから、ちゃんとやれよ!」とならないだろうか?何だろう?この余裕の違いは?今、何気なく、余裕と書いたが、何かWFHの方が皆余裕があると感じる。これは、やっぱりホームグラウンドに居るが故のリラックス加減の問題だろうか?ちょっと考えてみて頂きたい。オフィスの方が変な緊張感があったり、時にはギスギスした空気がないだろうか? だとすると、オフィス空間の改善が必要ということだろう。オフィスでは安心安全な場、心理的安全な場ができていないということに他ならない。リアルオフィスに戻った時に、どうすればリラックスした場、オフィスとしての良い緊張感はあるが心理的安全性の確保された場が作れるかを考える必要がある。これに気づかせてくれた、コロナ禍環境に感謝だろう!

また、リアルだと発言しない人がチャットだと元気に意見を投げ込んでくるとか、1on1で意外とパーソナルな話ができるようになった、というのもある。これらは、リアルにオフィスに戻った時のことを想定しながら、オンラインの場で練習し、是非、リアルな場に持ち込めるようにしたい行動だ。

ところで、多くの人がリアルに戻りたがる理由でもあり、リアルな場でないと実現不可能な状況とは何だろうか。例えば昨今、“報連相”より“雑相”と言われるようになった“雑談”がある。オフィスだと当り前に存在する、昼休みの雑談、廊下で顔を合わせた時の雑談、自動販売機前での雑談が、WFHでは存在しない。こういう場があるということは人間関係を解きほぐすだけではなく、このちょっとした雑談から視野が広まったり、新しいアイデアが生まれることは否定できない。オンラインでは、計画された会話しか存在しないので、仕事で直接関係ない人、隣の部署の人と全く接点がなくなったというのもよく聞く。これは多様性の妨げになるかもしれない。それらの対応策として出てきているのが、社内SNSやSlackなどをフル活用したコミュニケーションの場作りや休憩場所まで設けたバーチャルオフィスなどだ。オフィスで気軽に挨拶して話しかけたり、肩を叩いたりという状況をバーチャルに作り出す。もっと面白いのが「貴方とあなた、最近話してないよ。偶には話した方がいいんじゃないの」とAIが判断して、勝手にグループチャットを設定してしまうボットなどもある。本当にリアルよりコミュニケーションが活性化されるようになりそうな勢いだ。ただ、やはり昭和の私としては、この活性化されたオンラインの場作りを目的と捉えるのではなく、理想的なリアルの場を作るためにオンラインは良い訓練の場だと捉えたい。これが古いというご指摘もあるだろうが、、、。

一方WFHでは、ついついひとりで仕事に没頭したり、通勤というけじめがないことにより、元々パフォーマンスの高い人の残業が増えているという話をよく耳にする。他方、「あいつ、仕事しているのか」と言われる人も出てきている。最終的には個にゆだねる部分もある(そういう自立&自律が目標!)が、働き方xマネジメントのあり方を根本的に考え直さなくてはいけないのも事実だろう。最近巷で話題になっている、そのソリューションがジョブ型人事、というのは大きな間違いだ。マネジメントツールとしては存在しても、ジョブ型の意味や意義、その目的とマネジメントスタイルの整合性等には熟慮が必要だ。

こう考えてくると、人事・人材マネジメントの課題は山積みだ!でも、これを乗り越えた先には、理想郷が待っているような気がしないだろうか!どうでしょう、人事の皆さん。ワクワクしてこないでしょうか?!