コロナウイルス対策から学ぶDX時代のリーダーシップ 2
前ブログに書いたのを時代背景だと理解をすると、中々説明の難しい(私はいつも日本語で説明するのが難しいのです)、昨今最も参照されているであろうリーダーシップ論、“Authentic Leadership”というのも理解しやすい。
リーダーシップ論にかかわらず、最近は、Authenticityという言葉をよく耳にする。本来の日本語訳では、“信頼できる”、“本物の”とか“正統派”というように訳される。語源はギリシャ語で「根源」という意味。ただ、リーダーシップ論でAuthentic Leadershipという場合、他人から見て本物、というような意味以上に、「自分自身が自分自身を見つめ、自分の価値観や価値も理解し、まず自分が自分自身を認め、正直に自分自身をさらけ出すことで、他人から理解される人間になる、すると人はついてくる」というように私は解釈している。
産業革命以来の過去(日本で言うと高度成長期からバブル期)を振り返ると、(例えば、私が新入社員だった時代は)仕事で先輩以上の成果を出すことは至難の業だった。そして、担当する仕事にしても、部長や課長に指示されることを言われたとおりにやっていると大抵は成功した。当り前の話だ。10年も20年も、同じような製品を同じような方法で作って、同じような値段で同じような売り方で、同じお客さんに売っていたのだから、経験者の方が知識も豊富で、成功への方法論も知っている。過去の成功者は現在の成功者だった時代だ。だから、ピラミッド型上意下達のマネジメントもうまく機能していた。
ところが、それは過去の話。今の時代は違う。VUCAと言われる時代、過去の成功が将来の成功に繋がらない、もっと厳しく言うと、過去の成功経験が全く意味を持たず、過去にすがっていると取り残される時代だ。先輩後輩の構図は過去のそれとは全く異なる(もちろん、そうではない業務もあるし、経験の幅と深さからくるリスペクトすべき先輩のコンピテンシーは多々現存する)。
そんな時代に、人は、他人の過去の成功やその成功者の言動にはついて行かない。人そのものにリーダーシップを見出す。この人はどういう価値観の下で行動する人で、どこまで信念を持っているか、嘘はないか誠実か、倫理観は持ち合わせているか、、、人そのものについて行く。
今回のコロナウイルス問題を見ていても明らかだろう。国のトップも、医者も、疫学研究者も、経済学者も、誰も正解を持っていない。情報は日時変化する。そんな中で、誰がリーダーとして称賛されるか、他人がついて行くかは、あらゆる情報を得て精査し決断する力以上に、誠実性や責任と信念、本気度がどこまで見えるかというような人そのものが重要になってくる。今回の環境は、VUCAの時代に求められるAuthentic Leadershipを浮き彫りにしている。