Three months Online生活から見えてきたこと ~オンライン御作法編~

投稿者 aas 日時 2020年6月11日

オンラインの毎日からの気付きと課題感の第二弾を書いておく。今回はインライン御作法編。

5月31日に書いたように、私は比較的多様なオンラインコミュニケーションの場を日々渡り歩いている。会社の場・プライベートな場、日本国内ドメスティックな場・グローバルな場、会議・ワークショップ・研修・Webinar配信セミナーの場、配信側・参加者側、広範囲のジェネレーション相手(学生から昭和のオジサン世代まで)、等々。

そこで気づく違いをベースに少し気付きと懸念をまとめる。多分、まだ正解はなく、皆が模索している状況だとは思う。ただ、皆が色々な場を経験し交わりながら試行錯誤していかないと、また世代間の常識ギャップができたり、グローバルとは違う日本だけの独自常識ができたりしそうで怖い。

<入り方・出方>

欧州(IMDやFinland企業)のWebinarやワークショップ型研修に幾度となく参加しているが、参加者が入った時に顔を出して主催者に“Hi”“Hello”と声をかける人が多くいる。これは、日本国内のイベントではまず見られない。どころか、主催者が顔出しで話しかけても、ビデオオフのまま“シーン”が常だ。文化の違いといえばそれまでだが、これではグローバル会議などでは入口から躓く。

終り出口も同じだ。欧米だと、“Thank you”と多くの人が、その時だけミュートを外して声掛けしたり、チャットに”Thank you”, “it was fun”と書き込んだりしてから、退出する。が、日本ではそれが見られないケースが多い。もちろん「ありがとうございました」は聴くし、多くの御礼を残して頂いた経験もあるのだが、そのボリューム感が異なる。無料セミナーだと聞かれるのだが、有料の場だと黙って消えていく人が多いと思うのは私だけだろうか。

顕著に表れるのは大学の授業だ。日本人学生向けの日本語の授業では、ほとんどの学生が黙って退出していく。それに対して、留学生や帰国子女の多い英語の授業では、殆どの学生が“Thank you”, “Thank you, Professor”, “see you next week”と声をかけて退出する。これは気分が良い!(笑) 因みに、この違いはリアルな教室授業でも見られる傾向だ。

<顔出しor Not(カメラのon/off)>

この違いは場によってとても異なる。気になって、色々聴いてみたのだが、うまくカテゴライズできるほど明確な線引きはできなかった。ただ、私の体験と聴いた話からまとめて一般論を述べると(以下、欧米と書いているが私の体験は欧が多いが、米の話も聞いた上での感想)、
Ÿ  明らかに日本は顔出しが少数。欧米だと顔出しが多数。
Ÿ  会議では顔を出す人は多いものの、セミナーでは顔を出す人は少ない。
Ÿ  私の感覚では、セミナーの場合(数十名から百名程度)、日本だと8割が顔を出さないが、欧米では8割近くが顔出しなのではないか。(数百名以上の規模になると聴くだけになるので、顔出さない人が多くなる)
Ÿ  (これは調査したわけではないので確信はないが)日本企業では社内会議でも「ちょっと今日は顔出しNGでお願いします」が通用するが、欧米では「仕事なんだから、プロとして顔を出すのが当り前」という話も耳にする。子供がいて家事をしながら、会議に出るのに、化粧や着替えをしてられないというのは個人的には理解できなくもないが、報酬をもらっているプロとしてどうなのとは思う。また、その印象が自分のキャリアにどう影響するしないも背景にはあるだろう。
Ÿ  実は日本では大学も色々。「基本全員顔出しさせるように。授業なのだから」「中にはプライバシーを気にする生徒もいるので、強要はしないように」「基本顔出しはなしで授業はして下さい」と、まあバラバラ!

ただ、上記の違いの背景には、お察しのように、文化の違いだけではなく、通信環境の問題もある。全員が顔出しするとパンクする回線や企業、大学未だあるのも事実。この問題も先進国中では日本が遅れているように感じる。

顔出しに関しては、こんな話も聞いた。
Ÿ   ルールなどないが弊社では顔出しは当り前。何かあったらオフにしてもいいよと気を使うことがあるくらい。(グローバル先端IT系企業)
Ÿ   セミナーでも皆さん顔は出しましょう。顔を出さないとスピーカーが話しにくい。ということは、皆さんが顔を出して表情を見せて、スピーカーをやる気にさせた方が、皆さんにとっても得なのです!(Finlandのコンサルタント)

<チャットの使い方>

日本企業からは、オンライン会議システムのチャット機能によって、コミュニケーションが良くなったという声をきく。普段、セミナーや会議のリアルな場では発言しない人が、チャットだと意見を出してくるというのだ。それは良いことだが、これをきっかけに、オフィスに戻ったら話してもらいたいものだ、、、。

正直、余りにボリュームが出てくると、チャットも負いきれないのだが、私自身も、自分がスピーカーやモデレータの時に、チャットで入ってくる意見を取り入れながら話すのは好きだ。

場によって異なるのは、量より内容が目につく。欧米のセミナーやワークショップでは、話し手を褒める内容、同調、自分の経験を他人とシェアしようとする内容など、ポジティブなモノが殆どになる。(もちろん、内容がひどいと、ストレートに評が入ったり、退出する人が出たりは欧米の方がありそうだが)それに対し、日本人の集まりでは、批判や自慢が目につく。うまく言えないのだが、日本の場合、他人をリスペクトしていない発言が目に留まることがある。多分、リアルな場でそのような発言は出ないのに、チャットだと書く。ネットの社会の問題と同じ性質だろうか。企業の方が忙しい中出演し、タダで配信しているセミナーで、音声が良く届かなかったときに、チャットで品位の無いクレームが多数上がり、同じく参加者がクレーマーを制すということがあったという話も聴いた。まだまだ、礼儀、品位、リテラシーなどの問題が表出しているケースがあるようだ。

<ブレイクアウト&他責>

日本と欧米で同じ内容のブレイクアウトセッションをやろうと思うと、日本は2倍時間を取る必要がある。まあ、ここの能力は低い!学生も企業人も同じ傾向がある。

「全体で20分です。モデレータを決めて進めてください。最初に簡単に自己紹介をして下さい。ただ全体で20分なので自己紹介はひとり30秒、最大3分以内くらいで」とインストラクションを出してスタートすると、
Ÿ   まず、沈黙1!
Ÿ   じゃあ、自己紹介しますか、私から、、、と話し出す人がいる。最大30秒と言っているのに、3分位話す人がいる。
Ÿ   で、モデレータを決めろと言っても、中々決まらない!避けているのか、遠慮しているのか、誰も手を上げない。沈黙2
Ÿ   決まったところでモデレートできる人が少ない。「まず何から話しましょうか?」「誰から話してもらいましょうか?」モデレートになっていない!沈黙3
Ÿ   「じゃあ、まず私から話しますね」(それ、モデレートじゃないから!)「次、どなたかご意見ありますか?」沈黙4
(この時点で、20分のセッションの10分が経過している!)
Ÿ   で、話が進みだすと、全体で20分だと言ってあり、残り10分しかないのに、5分位演説する人が出ている。或いは言いたいことが短時間にまとめて話せない人がいる。そして、モデレータもそれをコントロールできない。
Ÿ   結局、話がまとまるどころか、一度も話さない人がいるままでタイムアップとなってしまう。
Ÿ   で、極めつけは「時間が足りない。企画が悪い」と事務局にクレームが入る!
これは、正直悲しくなる!

もちろん、そうでない方もおられるが、日本で日本の教育で育った学生、日本企業のサラリーマンの集まりでは、この傾向が当り前にみられる。一方、スタートアップ・ベンチャーや外資系企業でプロジェクト経験豊富な人、コンサルタント、個人事業主、私の周りの多い元Rなどの集まりでは起こらない。