Athletesから学ぶ組織マネジメント

投稿者 aas 日時 2016年8月15日

「若者をどうマネジメントして良いのか分からない」「どうやって、若者のモチベーションを上げれば良いのかわからない」ということを色々な会社で毎日聞いている私だが、ここ数年、色々なAthletesとの付き合いの中で、考えさせられることが多い。

一昨日参加した、車椅子バスケットボールのNPO法人Jキャンプの講演会で、Jキャンプ理事長で現全日本チームヘッドコーチの及川晋平氏(リオパラ準備で超多忙中)から「昔日本では“一所懸命やればいつか楽しくなる”と教えられたが、アメリカで“楽しくて、楽しくて、楽しいから一所懸命やる”ということに気付いた」という話を聞けた。彼は若くして単身アメリカに渡り車椅子バスケットボールとそのあり方を学び、考えてきた人。同じく、車椅子バスケットボール全日本エースの香西宏昭選手が、世界トップレベルのコーチから学んだ言葉として“Acknowledge”という言葉を強調していた。「もっとも大切なのは“Acknowledge”。認める、褒める、勇気づけることが継続と成長に繋がる」と。だが同時に、及川氏の口からは「オリンピック・パラリンピックやトッププロを目指す集団では、楽しむことと目的を達成することの両立が難しい」という発言もあった。

時を同じくして、先週、柔道の鈴木桂治氏の「五輪は楽しむ場所じゃない」発言が議論を呼んだ。私はとやかくいえるレベルまでスポーツ(ここでこの言葉が正しいかも議論があるだろうが)を突き詰めたことがないが、日本を代表するトップAthletesでも意見は分かれているようだ。日本代表レベルの友人も「やっぱり違うと思う」と意思表示している。鈴木氏が「楽しむ」をどういう背景や定義で使っておられるかは知りえないが、ライバルを打ち負かして勝ち取った日本を代表する自身の立場や支えてくれた多くの周りの人たちをしっかりと意識した上で「楽しむ」と言えると、それはそれで凄いことだと思う。今回金メダルを取った、水泳の萩野選手のように最近は「楽しむ」と口にするトップ選手が増えているのを、少なくとも私は素直に嬉しく思っている。

私は学生時代、バスケットボールをやっていたが、日本の学校での部活は辛く楽しい思いではなく、アメリカ人コーチの下でアメリカ人がチームメートだったインターナショナルスクール時代は、練習は厳しいのに楽しく、自主的に朝走ったり、夜残って練習していた覚えがある。が、日本に戻った大学の部活ではやはり楽しくなくなったことを覚えている。確かに、苦しい練習を乗り越えて勝った時は嬉しく、練習したかいがあったと思うのだが、冷静に考えると楽しくやっていても勝った時に嬉しいのは同じだろう。()

ただ、トップを目指すレベルは違うのかなとも思う。柔道で暴力・パワハラが問題になった時に、競輪選手でオリンピック銀メダリストの長塚智広氏が「高校時代に怒鳴られて、殴られて、鍛えられたからオリンピックのメダルも取れたのは間違いない。でも、次々に部を辞めて行った同級生も同じくらい自転車が好きだったはず。指導は難しい」と話していたことも思い出した。

しかし、最近は、楽しかろうと苦しかろうと、自分から厳しいこと苦しいことに自発的に取り組めなくなっていると聞く。それは、私も実感できる。嫌でやらないのではなく、やらなくてはいけないのは頭では分かっていても、自分から一歩が動けないのだ。元日本水連の理事だった知人からは、北島康介元選手でも自分では何をしなくてはいけないかを分かっていても苦しい練習を自分だけではできないので、チームコウスケを作ったのだと聞いた。友人の元バスケットボールJBLプロ選手で現在ミニバスケットボールのコーチをしている神事真規子さんや、小学生から大学ラグビー部までのコーチをしている現役プロラガーマンの西山淳哉氏から、如何に楽しみながら厳しい練習もできるような場を作るかだというような話も聞いた。ここ最近のオリンピックで、本来個人競技であろう、日本の水泳チームを見ていると、明らかにチームという場があって、そこで切磋琢磨し、一緒に頑張ることで個人力が上がっているだろうことは見て取れる。友人でオリンピックメダリスト中村真衣さんや田中雅美さんらOGOBFBを見ていても、その類を見ない繋がり(強い絆の仲良しチーム)は、何をやる時にも個人の力になるだろうことは想像が容易だ。

ここで、いきなり仕事(ビジネス)の話になるが、このようなチーム、場を組織内に作れれば、間違いなくビジネス成果にはプラスに作用するだろう。最近の若いものは、、、と昭和のトップダウンマネジメントしかできずに文句を言っているのではなく、如何に若者が自発的に前向きに楽しみながらチームのために頑張る場を作れるかを考え、実践できるマネジャーが求められている。

と書いては見たものの、以前、元慶応義塾大学蹴球(ラグビー)部監督をしていた同窓の松永敏宏氏に、「何にも代えがたいだけ好きなスポーツで、本当に心底“勝ちたい”と思っていても、自発的に努力できない若者が、仕事を自発的にやるわけないじゃない」と言われたことを思い出してしまった。()

後、もう一つ違う視点から。スポーツが徹底したデータ分析で戦略・戦術を立てて戦っているのに、ビジネスが全く環境が変わった中で過去の経験からの感覚で戦っていても、そりゃあ勝てないわなと思うこともある。

結局、ダラダラ思うまま書いて、書いたらまとまるかなと思っていたが全くまとまらず!でも、学ぶ切り口は多々ありそうで、、、そろそろ、彼らをどこかに引っ張り出して議論したい。

(登場させてしまった皆さん、勝手に名前を使ってごめんなさい。)