男女雇用機会均等法から30年。日本の女性雇用は進んだ?

投稿者 aas 日時 2015年9月24日

何で、今、この話題?って思われるかもしれませんが、実は、BBC World Newsの日本の女性雇用を語るパネルに出る予定だったのが、キャンセルになってしまったものですから、、、(笑)。その準備で自分なりに自問自答していたものを共有します。

今でも覚えているのは、30年前、男女雇用機会均等法が施行された時、四大卒の女性らが「私たちは、別に給与を男性と一緒にしてほしいなんて思っていない。男性みたいに会社人間になることを強要されるのは御免だ!」と、組合に男性と一緒の待遇にしてほしくないと申し立てたこと。その時代、私も含めて、多くの男性は“女性には結婚したら専業主婦になってもらいたい”と思っていた、というか、そういうものだと思っていたし、女性も働くより家で子育てと家事をするものだという前提で何となく考えている人が大多数だったと思う。それが、30年で、東京など都会では少なくともかなり変わった。これを遅いと捉えるか、良く変わったと考えるか、、、それは人それぞれだろう。

もちろん、変わった理由というか背景は色々あるだろう。女性の働く門戸が開かれた。ある程度バックアップされる法律やインフラも整ってきた。何よりお金の意味が大きくなりお金を稼ぐ目的が大きくなった。逆にバブルが崩壊し、生活のために働く必要が出てきた。女性の学歴も上がり何かやりたい人が増えてきた。当り前に、女性が自己実現を求めるようになり、それを受け入れる雰囲気ができてきた。こう考えてみると、やはり、女性は変わってきた。それを受け入れるというか、受け止める男性であり男性が作った社会が、同じスピードで変われていないのかもしれない。

20年ほど前にスウェーデンで「北欧の女性は良く働き、男女平等が進み先進的ですね」と言ったら、スウェーデン人に「税金が高くて手取りが少ないから、共稼ぎじゃないと生活ができないだけだ」と言われたことがある。変に納得した覚えがある。アメリカ留学時にアメリカ人の女性の「専業主婦は社会の負け犬だ」的発言に珍しく熱くなり、何だか日本の女性をバカにされているように思い「君たちは家のこと何もできていないだろう!家事を真剣にやるということがどれだけ大変か分かっていないだろう!」と自分も分かっていないのに(笑)、やりやった覚えがある。でも、そこから私の考えが変わってきた気がする。“外での仕事が100%か、家での家事が100%”の二者択一しか頭になかったのが、外で働くと家事は100%できなくても、会社でも100%の人に勝てなくても、“会社の仕事70%+家事70%=140%”は明らかに100%より上であるという考えになった。そうすると、会社では70%でも、トータルで140%の人を、「すげ~!」って尊敬することができるようになった。

今、世の中(日本)には(特に東京では)、男女関係なく、60%+80%の人、70%+50%の人、20%+90%の人、そして100%+0%の人、色々な人が存在しだしている。実は、会社オンリーなのに100%にも達しておらず70%+0%で偉そうにしているオジサンより、会社では50%でも家で頑張って家事70%の女性の方が、総生産量は大きいのかもしれない。トータルで100%を超える人が増えれば増えるほど、国は成長するのかもしれない。別に100%を越えなくたって良い。60%+40%と40%+60%のカップルだって良い。若い共稼ぎ夫婦は、自分たちの中でそのバランスを作り上げている。これは家庭によって異なる。一般正解などない。(実はこれに介護が入る人が急増しており、遥かに大変になっている)

ところが、社会のルールを作ったり、会社で意思決定の場に居るオジサンたちは、まず、皆さん、100%会社で、奥様は100%家事の方々。理解ができない。男は100%+0%前提で、女性も会社で働くなら100%を目指すことを前提に考える。これで、家庭を持て、子供を持てというのは無理がある。また、過去、男性社会でトップに上り詰めてきた女性には100%会社+0%家庭の女性も多かった。それどころか、100%会社+80%家庭という、とんでもないスーパーウーマンも存在する!そう考えると、私の知る限り、スーパーマンは存在しない!(笑) これら男性社会で成功している女性は、素晴らしいが、残念ながら多くの女性にとってのロールモデルにはならない。実際、私も、会社でできる女性には「XXさんは私たちのロールモデルです。私たちの為にも頑張ってください」と言っておきながら、別のところで「ああいう女性にはなりたくない」と言っている若い女性社員を目にしたことがある。ここら辺にも変化のスピードを落としている難しさがありそうだ。

会社は慈善事業ではないのだから、収益を追求するには100%会社の人材を求める。当り前の話だ。ということは、男性女性に関係なく、会社100%ではなくても、トータルが100%を超える人材を評価する世の中にするには、政府も、会社も、社会が一丸になってそのインフラを整え、人々の意識を変えていく必要がありそうだ。まずは、一人ひとりが自分の生活を見つめなおし、何が得か、幸せかを考え、声を出していく。それが株主として、70%会社でもトータル100%超の人材を評価する会社を評価することに繋がる。

しかし、この経済成長の望めない時代に、この正論ではかなり時間がかかりそうだ。どうしましょう? 政府頼みにはしたくないが、会社任せでは変われない。このような考え方が日本の国の将来を考えると不可欠と国に明確に表明して頂くのがスタート地点のようにも思える。また男性の育児休暇取得に助成金を出すとか政府は考えているようですが、そういう問題ではないでしょう⁈ 大体、これって男女雇用均等法上いいのか?(助成が会社対象だから良いのでしょうが、理念上おかしいでしょう⁈) 

う~~ん、難しい。だって、働かなくて良い選択肢があるなら、その方が楽ですからね!先のスウェーデンの話のように、働かないと食べられないところに持っていくしかないのでしょうか? 会社は労働者不足でとにかく雇用者を増やすしかない、個人は生活のために働かざるを得ない。近い将来、そんな国になる要にも思いますが、、、。でも、前向きに考えていきたいですね。