「原子力災害における避難・救護活動について考える」に参加して

投稿者 aas 日時 2016年1月30日

今日は、日本赤十字(http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/150909_003822.html)xわかりやすいプロジェクト(http://naiic.net/)x○○Cafe番外編「原子力災害における避難・救援活動について考える」に参加してきた。
って書いても、これ何だかわからないですよね。このワーックショップは、福島原発事故後、国会事故調メンバーだった石橋哲さんが、報告書だけ出して終りに納得できずに始まったわかりやすいプロジェクト国会事故調編が原点。現在、ここから派生した高校生を中心に考えるワークショップグループが複数存在している。以前、このブログでも書いた福島の高校生とのWSや東京の高校生とのWSもそれに当たる。で、今回は東京の○○Caféで初めてこの原発関連の議題に取り組んだ。

実は、3月19日に開催される「赤十字原資力災害セミナー」でこの高校生たちがプレゼンすることが決まっている。東京でこの議題で議論するのは今日が初回だったが、既にスタートを切っている福島の高校生チームと灘校チームと、これから1ヶ月半で、考えをぶつけ合い、議論し、皆で19日の発表に向かうことになる。で、ひょっとするとさらに先に大きな場での発表機会に繋がるかもしれないという高校生プロジェクト。

今日、何をしたかを簡単に説明する。今日は、まず『避難弱者』の著者・相川祐里奈さんから「避難弱者(要介護高齢者)をめぐる救援・非難の実態」の話を聞き、次に日本赤十字原子力災害情報センターの山澤センター長から「原子力災害における救護活動ガイドライン」について話を伺った。その話を聞いている間に、高校生も大人も気付いたこと、思ったことを、ポストイットにメモしておく。そして、そこからが真骨頂!いつもの通り、高校生に丸投げ!(笑) 大人のメモも含め、高校生に「好きにまとめてみ!」とお任せ。最初は「どうしよう」とか言っているのだが、そう言いながらも、ホワイトボードと椅子を動かし、自分たちなりのワークの場を整え、順番に意見を言いながらポストイットをホワイトボードに貼っていく。あっという間に、熱い議論が始まり、最後は、大幅に時間オーバー!多分、これをKJ法と呼ぶなど誰も知らないだろうが、自分たちで、どんどんまとめて、関係性や時間軸などでボードを二つ使ってまとめ、ストーリを作っていく。本当、びっくくりぽん!今後は、福島の高校生チームと灘校のチームとぶつけ合い、広げて、詰めて、議論を煮詰めていくことになる。

私は、今日も色々と考えさせられ、気付きも頂いた。個々人で求められる救援や避難援助が細かく異なることを再認識し、全て備えることなどできるのか、何かを学んだからといって本当に救うことができるのか、目の前の人全員を救えない時に選択選別判断はどうするのか、日本赤十字社の使命(理念)にもある“いのちと健康と尊厳”、ここにどう優先順位を付ければ良いのか。かなり重い課題も考えさせられた。

ひとつ、今日の議論の中で、普段のビジネスにも絡めて、私なりに整理させてもらったのは、今回の赤十字の救護活動ガイドラインのように、①経験から仕組やマニュアルを作成することにより後世にノウハウを残すことができる。また、②研修で知識やスキルを教えることはでき、知識・スキルを持った人を増やすことで何かあった時に対応できる可能性を高めることができる。しかし、過去の災害・不幸を風化させず、これらの意味や重要性を理解し、積極的に取りに行き、活用し、何より能動的に動ける人材を揃えるには、③意識、志、気持ちを持った人をどう増やすかが大切になる。しかし、この意識は簡単につかない。学生からは「風化と言われても、経験していない私たちは風化する元すら持ち合わせていない」という素直な意見も聞かれた。これは企業でビジネスを行うとき、マネジャーと人事で組織力を上げようとする時も、全く同じだろう。ビジネスプロセスや制度という仕組で生産性を上げることはできる。研修で社員の知識やスキルレベルを上げることも可能だ。しかし、社員がやる気がないと、本気で何かを目指す志がないと、何も実現できない。そうなる場をどうつくるか。どう国民の意識を上げていけばよいのか、、、。

そんな中、今日の私の気付きというか、自分自身に突き付けられたお題は、「同レベルの災害があったら、都会の方がヤバいのではないか」ということだ。今日、相川さんと山澤さんの話を聞いていて思ったのだが、農業や漁業を通して助け合って生きていく意識の強固なコミュニティーができ、天気や海という自然を相手に普段から自身で責任を負って判断している地方に比較して、隣人と挨拶もしない個の生活が普通になり、大企業組織で上からの指示に従って作業だけをしている都会人では、いざとなった時に正しい判断や対応ができず、誰かがリーダーシップを発揮してコミュニティーを作ることができないのではないか。大きな災害時に、1000万人が自分勝手な行動に出ると、収拾がつかず、2次災害、3次災害が起こるのではないか、、、。漠然と、そんな不安を持った。

簡単に答えの出ないことも多いが、今後も高校生と一緒に考えていきたい。

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